効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

振動で発電

これまで何回か振動や揺れで発電できるシステムの実用化可能性を述べたことがある。これがさらに具体化しそうな記事があった。東大の鈴木準教授が旭硝子オムロンと共同で、小さな振動を電気に変える小型発電機を試作したという。心臓のペースメーカや補聴器などに利用できるし、ボタン型電池の代わりとして家電品のリモコンの電源にも応用できる可能性があって、5年後の実用化を目指しているそうだ。
試作発電機の大きさは縦横2センチ角で、電気を通す樹脂と金属の板を振動で揺らして発電する仕組みで、発電量は0.28ミリワットと書かれている。しかし、この説明がよく分からない。樹脂に圧電素子の機能を持たせたのだろうか。また、電池の機能を同時に持っているような記述だが、それはキャパシターだろうか。振動が止まれば発電はしないはずなので、ペースメーカーの電源などに使おうと思えば、眠っていても絶対に止まらないで、この発電機を作動させるに十分な振動があるところに取り付けなければ電力の供給は止まってしまう。心臓の拍動や血管の動きを使って発電に必要な振動が得られるのだろうか。微少振動の周波数はどの程度で、どれくらいの発電電圧だろうかなどを知りたいところだ。振動エネルギー以上の発電はできないのは当然だが、小さな振動を電気エネルギーに変える効率を非常に大きくできたのだと理解している。
ともかく、小さな振動エネルギーを高効率で電気エネルギーに変換できる非常に小型の素子ができたということだから、特殊な用途に使えるものとして多少価格が高くなっても利用されるだろう。動く部分がないために、振動を受け止めるところの耐応力ひずみが十分であれば手入れも不要で寿命は長いだろうから、高度の信頼性が要求されるところから使い始められるに違いない。宇宙衛星などもその対象になるだろうか。
振動で発電する多様なシステムが普及すれば、一つの自然エネルギー源が生まれたことになる。これにはバッテリー技術の進歩が強く影響することは確かだが、この技術もいまや世界的に日進月歩となっている。どのような組み合わせが創造されるか楽しみだ。