効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

地熱利用の可能性

米国の国立再生可能エネルギー研究所の報告によると、これから地熱を利用した発電の重要性が高まるとのことである。現在世界では800万kWの地熱発電があり、そのうち280万kWが米国にある。風力、太陽光、小水力などが再生可能エネルギーとして注目されているのが現在だが、地熱を利用した発電の潜在力はきわめて大きいそうだ。米国の場合、これから3万年にわたって米国の電力需要をまかなえるほどの潜在能力があるとしている。
日本にも地熱発電所は18カ所あり、小さいものは100kW程度、大きいものは数万kWのものまであって、総容量は約54万kWである。地域的には火山帯のある東北と九州地域に多く見られる。国の面積比からすると日本の容量は結構良い線を行っているのかもしれない。
日本でも一度この潜在量、すなわち開発可能量を計算してみる必要があるのではないか。従来、地熱発電は、地下のマグマで高温に熱せられた水が蒸気となって噴出する力を利用してタービンを回すものが主力であった。この方式の場合、地下にあるいろいろな成分が水に溶けていて、それをうまく処理しないと水汚染や大気汚染を引き起こすことになるため、それほど簡単には開発できなかったと聞いている。また、地熱がふんだんにある所は国立公園など現状を変更しにくいところであることが多いために難しさがあったようだ。
しかし、深く掘ればどこでも温泉源が見つかるといわれる日本で、いま温泉開発のブームであることを考えると、この温泉熱をうまく利用すれば、ということは、それほど高温の蒸気が出なくても、低温で蒸気になる媒体を利用するバイナリー発電を行えば、かなりの発電ができるのではないだろうか。この設備に対して国の補助が出やすくしたり(NEDOのホームページを見ると、設備に対する補助制度はあるようだ)、自然エネルギーとしての価値をうまく実現できるような制度が準備されれば、炭酸ガスを出さない発電が日本各地で可能になるはずだ。温泉場としても新しい魅力をつけられるので、案外普及するのではないかと思っている。温泉という非常に活性度の高い溶液を使うので、熱交換器などの素材開発がさらに必要かも知れないが、その応用可能性の広さから見て開発の価値はあるだろう。地熱発電再生可能エネルギーであるのに、日本のエネルギー開発政策上は新エネルギーとして認められていないのはなぜだろうか。