4月29日の日経新聞朝刊に、大阪ガスとヤマハ発動機が生ゴミをメタン発酵させてできたメタンガスを使って走るゴルフカートの共同走行実験を始めたと出ていた。活性炭でガスを吸着する燃料タンクを使い、一回1立米の充填で30km走れるそうだ。ここでは生ゴミのメタン発酵の前処理に、大阪ガスの開発した技術を使って約10種類の微生物で液状に分解する。メタンガスの発生率が従来方式の28%増になり、生ゴミ30キロが2.3立米のガスになるそうだ。大阪ガスはピッチ系活性炭の技術も持っている。
ゴルフカートへの応用は面白い着想だと思う。バッテリー駆動のものがいま使われていることでも分かるように、走行距離は長くない。本格的な自動車と違って、これは必ず一日の終わりには特定の場所に戻るから、そこで発生したメタンガスを充填するのも容易だ。ゴルフ場にはレストランがあって、一定の生ゴミが必ず出てくる。この量がガス発生に十分かどうかは分からないが、近くのゴルフ場から足らない分を集めることも難しい話ではない。生ゴミは必ず何かの形で処分しなくてはならないのだから。また、ゴルフ場は田舎の山にあるのが殆どだし、住宅からは離れ、空きスペースも大きい。ゴミ処理・ガス化設備を設置するには理想的なところかも知れない。生ゴミも全部がガスになるわけではなく、必ず廃液が残る。この廃液は多分芝生の液肥に使えるはずだ。毎日廃液が出ても、十分有機肥料として利用できるだけの面積はあるだろう。
もしガスが発生するだけ十分使えなければ、いずれにしろ充填用にガスホルダーが使われるから、余ったガスを、これもゴルフ場には必ずある風呂の温水用に使うことができる。
将来はこの技術をトラック、バスなどにも利用することを考えているようだが、航続距離が長いだけに、インフラ整備が問題となるだろう。一定の場所を走る空港バスなどには向いているかも知れない。