9月末にドイツで発表された記事によると、燃料電池を動力とする4人乗りの旅客機が飛行に成功したということだ。ドイツの航空機開発センターが中心になって開発したもので、燃料電池からの電気を使うモーターで2つのプロペラを回す。離陸や上昇の時にはリチウムイオン蓄電池を補完的に使うという。HY4と名付けられているそうだ。燃料は再生可能エネルギーからの電力による電気分解で作った水素を使っている。燃料電池の出力は80キロワットで最高速度は時速200キロメートル、巡航速度は時速145キロメートルということだ。航続距離は飛行の仕方で変わり、750〜1,500キロメートル。機体の最大重量は1,500kgだが、機体の形にも特徴があって、2人乗りの細長いキャビンが2つ離れて取り付けられている。どちらかに操縦士が乗る形になるのだろう。この記事によると、いずれ車で走るほどの近距離はこのような旅客機が利用されるようになるだろうとしている。この間、太陽電池だけのエネルギーで世界一周した飛行機のことを書いたが、この燃料電池飛行機にも太陽電池は使えるだろう。燃料電池は低温のものというが、アルカリ型ではなく固体高分子電解質を使ったものだろう。いま航空機からの地球温暖化ガスの排出が問題になりつつあるところへ登場したこの旅客機は、実用の時期が待たれるに違いない。