核燃料サイクルの要としての実証炉として建設された高速増殖炉もんじゅは、稼働開始後すぐの1995年に液体ナトリウムの漏洩事故を起こし、それ以後全く稼働していない。実稼働時間はゼロに近い。これを政府が、「廃炉を含め抜本的な見直しを行う」との方針をとりまとめ、廃炉の方向を決める、と報じられている。ただ、廃炉になると、設置されている地方自治体である福井県への支援費用がなくなるため、同意が得られるか、という課題と、管理組織である文科省が廃炉に消極的だという課題をどのように乗り切るかが問われることになる。一方、政府は核燃料サイクルは維持する方針だから、結論がどのようになるかまだ分からない。ただ、もんじゅにはすでに1兆円超の事業費を投じており、さらに巨額の費用がかさむということだから、代替施策を示したうえで廃炉ということになるのだろう。プルトニウムを消費するための代替施策が示されなければ、原発から出るプルトニウムの保有量が増えて国際問題にもなりかねない。どういう代替策が示されるか興味のあるところだ。