ニューヨーク州は全米で電気料金水準が最も高い州の一つであり、料金引き下げを目的に1990年代末から電力市場を全面自由化し小売競争を導入している。ところが、小売事業者が消費者との間にいろいろなトラブルが出ているようだ。州公益事業委員会(PSC)は2016年2月、家庭用を含む小口需要家を小売会社の不正な事業行為から保護するとして、小売会社の活動を大幅に制限する新たな規則を発表している。海外電力調査会のレポートで知った内容だが、小売会社に対し小口需要家と新たな契約あるいは契約更新を行う場合には、配電会社の小売料金より安い料金を書面で保証するか、供給電力の少なくとも30%を再エネ電力とすることを義務付けた。また規則違反があった場合に小売会社の資格を取り消す手続きも明確にしたということだ。このような電力小売事業者と消費者との間のトラブルは日本でもこれから発生する可能性が高い。いろいろなメリットを唄って需要家を獲得しようとしているが、その契約内容を詳細に調べて理解するのは難しいことが多いだろう。特に代理業者が仲介する場合には、消費者との関係にどちらが直接関わったということが明確になりにくい。消費者が誤解する場合もあるだろうが、誤解させようとするケースが出るかも知れない。消費者庁などがよく目を光らせていなければ、抜け道を巧妙に組み込んだ契約が横行するかも知れない。