自動車の完全自動運転がまもなく実現するような記事を何度も目にしたが、その度に眉につばをつけていた。実証テストとして走るものであれば、そのようなものが製作されるのは分かるし歓迎もするが、それが例えば今年中にも実際に道路を走るかのように表現するのは人心をたぶらかすものだと言っても良いだろう。そう思っていたところに、これがその一歩だという報道が今日なされた。米電気自動車(EV)メーカー、テスラ・モーターズは10日、EVのソフトウエアを遠隔更新し、スマートフォン(スマホ)や鍵のボタン一つで車庫から車を自動で出し入れできる機能を追加したと発表したというものだ。車庫の扉のリモコン機能と連動させると、車庫の開閉から駐車までが全て自動で完了するということは、車庫にも何か情報を発信する機構が組み込まれているのだから、それほど難しいものではなかろう。これを拡張応用すれば、車庫でブレーキとアクセルを踏み間違えて事故を起こすようなケースを防ぐにも有効なシステムになるかもしれない。防止のための発信器を備えるように義務づければ可能になるだろうからだ。この発表と同時に車間距離の維持やレーン自動変更などができる自動運転機能のソフトも更新し、運転席に着席し、走行速度が上限以内でなければ使えないようにしたというのも自動運転と表現すべきではなかろう。技術というものは想定以上の進歩をすることがあるとはいえ、一般の道路で自動運転ができるという夢が実現するのは時間がかかるだろう。