日立製作所とスイスの重電大手ABBが高効率の送電分野の合弁会社を日本に設立する方向で最終調整に入ったと報じられている。送電分野にしろ発電分野にしろ、海外事業者が参入するのには難しさがあったのだが、今後送電網の整備が日本で進展するのが確実である中、送電システムに卓抜した技術を持つABBが日本に参入する施策として日立を選択しようとしているのは賢明だろう。合弁会社は日立が過半を出資し、経営トップも派遣する見通しだというから、日立製作所の戦略だとも言えよう。合弁会社は地域間を高効率で安定的に電力融通できる高圧送電設備の開発や販売を中心に手掛ける見通しだとされる。ABBはシーメンスと並んで高圧直流送電の技術で世界に知られている。高圧交流送電だけであれば日立も世界で対抗できるだろうが、これから世界的に主流となる可能性のある高圧直流送電技術をABBから導入できるのは、電力の周波数が2つに分かれている日本市場には大きな意味があると思う。これに対応して、シーメンスやGEはどのような戦略をとるだろうか。