ロシアが中国に天然ガスをパイプラインによって大量に送り込むことが首脳の間で合意された。ロシアとしては失いつつあるヨーロッパの天然ガスビジネスを中国で取り戻そうということになるし、中国は大気汚染の源泉である石炭火力発電所を削減するためにどうしても天然ガスが必要となる。これまでは中国のLNG輸入が世界のLNG市場を攪乱するかもしれないといわれていたが、ロシアからクリーンなしかも、風力や太陽光の発電の出力変動抑制に使いやすいガス火力発電を増やすことができれば、再生可能エネルギーの導入も大幅に増やすことができる。中国は再生可能エネルギーの開発分野でも周辺諸国とタイアップして事業として拡大し、経済的関係を深め、世界での政治的な位置を押し上げようともしている。これに対してヨーロッパのエネルギービジネスがどのように対応するか、あるいは、日本がどう対応するか、対応を間違うと、先進技術を持つと思っていた足下をすくわれる可能性もある。アジアの政治経済の動向に中国とロシアが与える影響は極めて大きいのではないかと感じている。