効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

風力発電とベアリングメーカーNTNの動き

NTNは2011年にもフランスで風力発電機向けの軸受け(ベアリング)生産に乗り出すという。軸受け大手の同社が風力発電向けを海外生産するのは初めてだそうだ。欧州には日本にも多く設置されているデンマークのベスタスなど風力発電機メーカーの大手が集まっており、現地生産を通じて取引の拡大を狙ったもの。このための生産ラインを設置するのはフランス東部にあるアヌシー工場。当初風力発電機の発電効率を高める増速機に使う直径約65センチの中型軸受けの生産設備を導入し、その後、風車の主軸に使う直径約2メートルの超大型軸受けの生産も始める。これで今後日本での生産能力がどうなるのかよく分からないが、日本での雇用が一部フランスに移転することになるのは確かだろう。
一方日本国内の風力発電事業者は国産の風力発電設備を導入する比率を高めたいとしているとの報道もある。海外メーカーのものを使っていると、故障への対応や部品の供給が円滑にいかないケースが多いからだという。最近でも中部電力グループであるシーテクは、これまでスペインのガメサ製品を使っていたが、日本製鋼のものを新たに採用した。これは増速機を持たないタイプのものだったはずだ。新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDO)の「日本における風力発電設備・導入実績」調査によれば、02年度に12・7%だった国産機の割合は、08年度に23・7%になった。05年度には一時25・4%に達し、07年度以降は23%台で推移してきている。日本の風力発電市場の拡大テンポは大きいとはお世辞にも言えない。しかし、国産機を調達する方向に向かうとすれば、国内に雇用を創り出すことはたしかだ。そして風力発電設備の法定耐用年数とされる17年にわたってメンテなどについてのサービス事業が確保されることにもなる。国産機は日本の風の状況に合った設計になっていると聞くこともあるが、海外の製品を上回る性能を持つ風車を開発し、設置数を増やしてほしいものだ。