効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

分譲マンションの太陽光発電

大京太陽光発電を導入したマンションの分譲を始めるという。発電した電力を専有部分である各住戸に分配して供給するのが特徴で、平均的な電力使用量の場合で電気料金を25%程度削減できる見込みだそうだ。このような太陽光発電設置のマンションの事例はいままでにもあるが、その電力は廊下や階段など共用部分に限られていた。今回の場合、大京が分譲マンションに設置した太陽光発電システムを電力供給事業者(ESP)が管理・運営する。ここに住む世帯は従来の電力会社とこのESPと2つの会社から電力の供給を受ける形になる。マンションの屋根は住戸の数に比べて小さいから、太陽光発電の発電規模は相対的に小さくなる。だから総発電量を住戸別に計測した電力消費によって按分するのだろう。どのような契約になるのかまだ分からないが、これが円滑に行くようであれば、分散型発電の供給をマンションに行う新しいビジネスモデルができることになる。
この場合、ESPからの電力価格をどのように見るかに興味がある。もし太陽光発電装置のコストを建物価格に入れてしまって分譲し、建物自体が見かけ上発電所であるとすれば、ESPの管理費のみが発電コストになる。そうなると殆ど無料に近い電力をマンション入居者に供給することができる。そうでなければまともに太陽光発電設備コストを別建てにして発電原価を計算すると普通に電力会社から買う電力の料金単価よりも高くなるはずだ。記事では戸別の電気料金が安くなるのだから、発電原価が極めて低くなければ実現はできないはずだ。
この方式が一般化すれば、たとえばまだ高価な燃料電池を建物共用設備として分譲価格に組み込んでしまい、ほとんど燃料であるガス代に近い電力供給をするということも可能になる。維持管理費の配分だけをうまく契約しておけば、全部の電力供給を分散電源で賄うこともできるはずだ。もちろん分散電源が全部止まることも想定して系統からのバックアップも必要だろう。しかし、多数の分散電源が一度に故障して止まる確率は低いはずだから、蓄電池でのバックアップを考えれば、電力会社からの電力供給を受けないマンションも出てくるのではないだろうか。発電設備を共用エレベータと同じように考えると実現可能性は高い。面白い時代に入ってきたのかもしれない。