効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

固体酸化物燃料電池(SOFC)への新規参入

NGKで知られる自動車のスパークプラグを作っている日本特殊陶業が、セル本体の電流密度を高めてセルスタックを小型化した1キロワット級SOFCを開発したと発表した。開発成果は、今週米国で開催される燃料電池セミナーで発表するそうだ。
セルスタックが15枚の平板セルで構成され、従来のものから枚数がほぼ3分の1、電流密度は2倍になっている。作動温度は700度。燃料である天然ガスを改質する部分もセルスタックの上部に組み込まれていて、そのユニットだけで発電できるはずだ。交流にするにはインバーターが必要だろう。出力が1.1キロワットとのことだが、補機用の消費電力が入っているのかどうかは分からない。発電部分の発熱と改質部分の吸熱反応のバランスをうまく制御していて、熱自立の運転ができると発表している。
2015年に500億円規模の市場を狙うというから、技術開発の成果によほどの自信をもっているのだろう。SOFC発電効率燃料電池の中ではもっとも高く40%を超えるから、また排熱温度も高いため熱利用の難しさも大きくならないため、コージェネレーションとして利用すれば家庭用・業務用から変電所規模までの発電設備として極めて有効なものになる。熱利用を考えない発電所用としても、これだけの発電効率があれば、スタックを沢山集めて発電だけに利用することもできるだろう。
この会社がSOFCを開発しているとは知らなかったが、新しいプレーヤーが出てきたことは喜ばしいことだ。当面は都市ガス会社に製品として卸して、700ワット〜数キロワットの家庭用・業務用市場から参入するとのこと。政府の大規模実証試験に参加できるくらいに完成しているのだろうか。