効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

波力発電の新技術

10月8日の日経新聞に紹介されていたが、神戸大学鳥取で波力発電の新技術を実証実験するそうだ。「ジャイロ式」と呼ばれている方式で、高速で回るコマは常に同じ方向を保とうとするジャイロ効果を持つのを利用したものだ。これによって波で空気を圧縮してタービンを回すような従来の方式より波の力を電気に変える効率が2倍になるという。
新聞に出ていたイメージ図はどうも不正確であるように思えるが、いずれにしろ、波に浮かせた台に取り付けたジャイロは、その台が波で傾いても回転軸がずれないように抵抗する。ジャイロの軸に一体化している支え枠の一カ所に発電機の駆動軸を連結させ、発電機は浮台に固定する。浮台が波で傾くとジャイロの回転軸と発電機の据え付け角度がずれることになり、そのずれによって発電機の駆動軸が回ることになる。ぐるりと回るのではなく、波の高低で時計の振り子の取り付け軸が回るような動きになるはずだ。そして振り子の往復の時に発電することになる。面白い方式を考案したものだ。発電前にはジャイロを高速回転させるために電気が必要だが、最初は系統の電力か蓄電池のようなものから供給するのだろう。波の力に負けないで軸の方向を保つのだから、どれほどの直径と重さをもった回転板をどの位回転させることが必要だろうか。記事によれば、発電装置の大きさは縦6メートル、横9メートルというから、直径3〜4メートルの円盤だろうか。これで波力エネルギーの4〜8割を電気に変換して22キロワットまでの出力が得られるそうだから大したものだ。往復回転を増速させる機構はあるのかしら。発電を効率的に行うためには、この設備の発電機ローターの回転軸を常に波が寄せてくる方向と直角にしておかないといけない筈だし、ジャイロの回転を続けさせるのに必要な電力を最小限に抑えないと効率は落ちてしまう。
この波力発電が実用化されるかどうか見極めるにはもう少し時間がかかるだろう。記事から推測した自分の理解に間違いがあるかもしれないが、とにかく楽しいメカニズムであるのが嬉しい。