効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

木質バイオマス

昨日(17日)は、早朝から出かけて帰宅が午前様に近かったので、日記が一日抜きになってしまった。
客員教授をしている大学で、修士論文の審査と学生との面談をしたのだが、そのテーマが木質バイオマスの利用に関するもので、スターリングエンジンにもいずれは論が進展する可能性もあるものだった。オーストラリアで日本企業が行っている植林事業について、主たる用途の製紙用原料以外に、今後石炭火力発電所で燃料として使用することによって、日本の炭酸ガス排出を削減するという方策がどの程度の現実性を持つかという内容だったが、いま電気事業が試験している木質チップ、ペレットの石炭混焼の結果によっては実現可能性があるかもしれない。電気事業に課された2010年の再生可能エネルギーの利用義務が、総発電量の1.35%から1.6%に上げられたのも関係するだろう。

前の日記で紹介した里山倶楽部のスターリングエンジンに使われる燃料は、写真で分かるように、乾燥させた樹木を割っただけの「薪」であるが、樹木伐採の現場にボイラーとエンジンを置いて実験しているからこれでも良いのであって、このような木質燃料の利用を普及させようとすれば、小さなチップやペレットとして移動しやすく、品質も安定させなくてはならない。そして、その価格が化石燃料と比べてあまりかけ離れたものになっては市場が形成されることはないだろう。間伐材や廃材をチップやペレットにするコストが高いことは明らかだが、それが林業廃棄物処理に与えるプラスの価値、カーボンニュートラルであることの環境価値などを計算に入れて、市場で流通するだけの力を持たせるような制度的枠組みが絶対に必要だろう。それは、最終的に環境の影響を受ける国民全体が負担するものにしなければならないということであり、国民が納得できるコスト負担システムを作り出すのに知恵をしぼる段階に入ったように思える。