効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■大阪ガスのメタネーション新技術

7月19日にも書いたことだが、メタンを主成分とする都市ガスを燃焼させると、地球温暖化ガスである炭酸ガス(CO2)が必ず発生する。そのため、都市ガス事業者は、長期的な事業継続のためには、この炭酸ガスの由来が、植物から作った炭素からになるようにすれば、言い換えれば、排出する炭酸ガスは植物に再び吸収されるという前提になるようなガスの製造ができれば、都市ガスは温暖化を促進するという非難を避けることができる。しかし、植物由来の炭素利用には、炭酸ガスを吸収してくれる植物を減らすという決定的にマイナスになる地球規模の課題が発生する。

そこで都市ガス事業は、火力発電所から排出される燃焼ガスから炭酸ガスを取り出す技術(Carbon Capture)の実用化が完成すれば、取り出した炭酸ガスを水素と化合させメタンを作るメタネーション技術の開発に力を入れている。それについて大阪ガスは、脱炭素化技術「メタネーション」について、実現の鍵となる電解素子の実用サイズセルの試作に国内で初めて成功したと昨年の1月に発表した。2030年の実用化を目指している。

従来型のメタネーション技術では、再生可能エネルギー由来の電力で水(H2O)を電気分解してできる水素を取り出し、これを炭酸ガスと合成してメタンを生成するプロセスを踏む。大阪ガスによると、こうした一般的なメタネーション技術のエネルギー変換効率は55~60%だという。

大阪ガスが取り組む固体酸化物素子(SOEC)を利用した手法では、水をCO2と同時に電気分解できる。そこで製造された水素と一酸化炭素を利用し、反応装置を利用してメタンを合成するという仕組みだ。このSOECを利用する手法のエネルギー効率は、85~90%が期待できるという。だが、課題となるのがその製造コストだった。これまでのSOECは特殊セラミックスで構成されており、これがコスト高の原因となっていた。そこで大阪ガスは、耐久性のある金属を基板とし、表面を薄いセラミックス層で覆った金属支持型の構造を採用した新たなSOECを開発した。これは英国のCERES Powerが開発した固体燃料電池素子とよく似た構造をしているのだろうが、特許の抵触を避けることができたのだろう。これにより、高コストな特殊セラミックス材料の使用量を、従来比1割程度に削減でき、低コスト化が期待できるという。また、新型SOECは従来型に比べ、耐衝撃性が高く強じんであり、スケールアップの実現も容易だとしている。

メタネーション技術開発は東京ガスも行っている。都市ガス事業の将来がこの技術で定まるのだから、都市ガス大手の2社が協力して技術開発のスピードを上げてほしいものだ。

 

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