効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■熱の取り出し

急速に進展するデジタル社会とともに、データセンターに求められる機能も急上昇する。一方データセンターの電子回路は微少化し、そこで発生する熱をうまく逃がしてやらなければ回路が破壊されてしまう。これまでは、大型コンピュータから出る熱は大容量の冷房装置で除去すれば良かったが、次第に熱が外に抜け出なくなるために、システムの中で熱移動を円滑に行う必要が高まっている。

それに適した素材が最近開発されたそうだ。放熱素材で革新を起こそうとするのが名古屋大学発スタートアップのU-MAP(ユーマップ、名古屋市)だ。ファイバー状の単結晶窒化アルミニウムがその素材。電子機器が発する「熱」を劇的に取り除いてくれるらしい。サーバーを冷やすための電力量はとてつもなく増えている。世界の消費電力の3~6%はデータセンター向けで、2030年には20%を占めるともいわれている。パソコンやモビリティーを含めれば25%になるという見方もある。それだけ電子機器の熱問題は地球に負荷をかけているのだ。その熱退治に威力を発揮するのがファイバー状の単結晶窒化アルミだという。この報道記事では熱そのものを取り扱っているが、この素材の役割は、熱を素早くコンピュータシステムの内部から外部へ移動させる役割が重要なのだと思う。

窒化アルミというのは自然界に存在しない無機物で、窒素やアルミと反応させ結晶を成長させることで取り出せる。半導体の材料などに使われているが、これまで窒化アルミは粉末状で多結晶でしか実用化されていなかった。名古屋大学の宇治原教授は2013年、窒化アルミの結晶を成長させる研究で偶然、別の結晶ができているのを発見。顕微鏡やX線装置で見たところ、単結晶でしかもファイバー、つまり繊維状だったのだ。一本のガラス状繊維だから熱の移動速度が速く、それをうまく束ねることで熱の移動を迅速にできるし、水とも反応しにくい、ということだ。放熱性の高さは、これまでの窒化アルミの熱伝導率は200W/mK(W/mKは熱伝導性を示す単位)だが、U-MAPは270W/mKある。この値が高ければ高いほど放熱性に優れている。顧客がテストで樹脂を混ぜて使ったところ、放熱性が従来に比べ約2倍になるメーカーが相次いだ。

これで熱を回収し、それを冷やす冷房装置の電力を、再エネ由来のものにすれば、温暖化の進み方を抑えることができる。

偶然とは言え、それを見逃さず利用方法を考えたのは大したものだ。世界で使われる商品に育ってほしいと思う。

 

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