効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■収益性のない石炭火力

石炭火力国内最大手のJパワーは16日、山口県宇部市で計画していた石炭火力発電所の建設を断念すると正式発表した。脱炭素の流れで規制が強まり、投資効果を得られないと判断した。同社は国内総発電量の3割超を非効率な石炭火力で賄う。規制強化のスピードが速まるなか、石炭依存の経営から脱却を急ぐ。

建設をやめるのは宇部市で計画していた60万キロワットの発電所2基。宇部興産大阪ガスと3社で建設する予定だった。2019年4月に大阪ガスが投資を回収できないと判断して撤退。Jパワーと宇部興産発電所を1基に減らし、最新の環境設備を導入するなどの対応で計画を続けられないか検討してきた。建設を断念した決め手は規制の強化だ。政府は非効率な石炭火力を30年までに休廃止する方針。経済産業省は非効率な石炭火力の縮小に向け、発電事業者などに発電効率を43%にするよう求める新基準を設ける。石炭火力は高圧水蒸気発電だからこの効率を出すのは極めて難しい。

石炭火力発電所は全国に約150基ある。経産省の集計では大手電力の発電所のうち19年度時点で40%以上は31基、43%以上は2基しかなかった。石炭火力発電所の効率を高めるには新設にしろ、既設にしろ、巨額の投資が必要になる。

米国を訪問した菅首相がバイデン大統領と気候変動問題対応を進めると合意したようだが、そうなると、石炭火力の建設自体がさらに難しくなることは間違いなかろう。当面は天然ガス火力への依存を高めなければならないが、米国からのLNG輸入について厳しい条件を付けられないようにしなければなるまい。

Jパワーは2月に50年のCO2排出実質ゼロに向けた工程表を公表している。石炭ガス化により発生した水素を回収し、ガスタービン燃料電池などで発電する設備を導入する。オーストラリアで褐炭から水素を製造する事業にも取り組む。30年のCO2排出量を17~19年度の平均値と比べ40%削減する計画だ。16日には既設の松島火力発電所2号機(長崎県西海市)に新たにガス化設備を付加し、バイオマスアンモニアを混焼することでCO2を削減することも発表した。どれも実現させること自体が難しいものばかりで、コストは大きく上がることになる。

原子力発電所の再稼働がなかなか進まない中で、一定程度の石炭火力は必要とみて高効率のものは稼働を認めざるを得ないというのが日本の現状だが、それは世界に受け入れられないだろう。再エネにも当面は期待できないとすれば、エネルギー消費を効率化する以外にないだろう。さらにはエネルギー消費の大きい産業を縮小することだ。

いずれも日本に痛みを齎すものだが、いかに切り抜けるか、政府の手腕が試される。

 

 

 

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