効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■石炭火力漸減と再エネ設備の優先連系

発電関連で2つの政府施策が発表された。一つは、政府が非効率な石炭火力発電所の9割を休廃止する方針を固めたというもの。もう一つは、太陽光や風力など再生可能エネルギーの事業者が送電網を優先的に利用できる仕組みをつくるというもの。この2つは密接に関連している。

世界的に脱石炭火力の方向に向かっている中で、先進国の中で日本だけが、石炭火力の新設も進め、発電効率の高い石炭火力発電設備を途上国に輸出しようとしていることに対して、国際的な非難が集まっている。その非難をかわすと同時に、古い石炭火力の停止の意味づけをしたものだ。石炭価格は低位安定しているから、電力価格の安定に貢献していると言うが、地球環境という見えない価値を損なっていることを電気料金に反映させていないから言える話であり、CO2排出量の低い石炭火力からの電気のコストが安いとは言えない。

報道によれば非効率な石炭火力設備は114基あるとされ、10年で100基程度を休廃止するようだ。それぞれの発電所には、需要地に向けた大容量の送電線が設置されているが、これも撤去されるわけではないから、日本全体で見た空き容量が増えていくことになる。これをうまく利用したのが、再エネ設備の優先接続の政策打ち出しだと思う。規模の大きい太陽光や風力発電設備の系統連系を申請しても、既存の発電設備の容量を確保した上で可能量を計算することになっていたため、再エネの接続が拒否されることも少なくなかった。非効率石炭火力は全国に存在するから、それが利用していた送電系統は使われなくなるのを再エネに振り向けようと言うもので、改めて優先接続というほどのものではないだろう。再エネの優先接続は再エネ推進国では当然のルールになっていたのだが、日本の場合旧電力会社が発電量の制御がしにくい再エネを受け入れるのを渋っていたために、再エネ優先接続の制度は導入されなかったのだ。

優先接続を認めると言っているだけで、休止する石炭火力のための送電系統を再エネ用に開放するというのが実態だろう。これは廃炉になる原発が使用していた送電系統についても同じことが言える。今回のエネルギー政策の転換は、世界からの非難を回避するためにされたものだと思っている。

 

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