効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■水素の輸入が始まった

 水素を輸入するのは、技術的には可能だが、コスト的に引き合うのかどうか疑問に思っていた。だが今日の報道記事で、次世代水素エネルギーチェーン技術研究組合(AHEAD/神奈川県横浜市)は5月26日、川崎市において、海外から輸送した水素による国内初の発電利用を開始したと発表した、と知り驚かされた。川崎市臨海部にある東亜石油・京浜製油所敷地内の「脱水素プラント」において、ブルネイで生成したメチルシクロヘキサン(MCH)から分離した水素を、水江発電所(火力発電所)のガスタービンに向け供給を始めた。これにより、ブルネイでのMCH生成、海上輸送、日本でのMCHから水素の分離という一連の流れからなる国際間水素サプライチェーンに、将来の大規模水素需要の一つとして期待される発電燃料需要が加わることで、同組合が目指す「海外から輸送した水素による電力供給」が達成され、水素発電商用にさらに一歩近づいたのから、大きく評価しても良いだろう。大赤字を出した千代田化工建設が主体だからお見事というしかない。

 メチルシクロヘキサン(MCH)は、トルエンと水素の結合により生成された、常温・常圧で取り扱うことのできる液体。修正液の溶剤等に幅広く使用されている。有機ケミカルハイドライド法は、資源国で調達した水素とトルエンを化学反応によりMCHに変換(水素化反応)して貯蔵輸送し、水素需要国にてトルエンと水素に分離(脱水素反応)して需要家に水素を気体として供給する技術。この方式が火力発電所のタービンに供給されるほどの量が輸入できるとは理解していなかった。需要国で水素から分離されたトルエンは、資源国へ送り返され、水素と結合され再びMCH に姿を変え、水素輸送に再利用されるようだから、当初の投資の回収も可能となるだろう。燃料としての水素コストがどれ位になるかが課題かも知れない。

 経済産業省が2019年3月に策定した「水素・燃料電池戦略ロードマップ」では、水素発電が再生可能エネルギー電源への移行と合わせ、低炭素化に向けた有力な方策と定義づけられている。また、2030年までの国の行動計画である水素基本戦略や第5次エネルギー基本計画は、2030年に水素発電の商用化を目指している。今回のプロジェクトは再エネから作った水素ではないが、大量消費の実証ができたのは大きな前進だろう。

 

 

 

 

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