効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■スイスが2050年迄にネットゼロにすると宣言

 スイス政府が2050年迄に地球温暖化ガスの排出をネットゼロにすると宣言した。この28日に報道各社から報じられているが、日本の新聞では見かけなかったから、報じられたとしても大きい記事ではなかったようだ。これは同国で排出される温暖化ガスと吸収される温暖化ガスをほぼ同じにするということで、温暖化ガスの収支をゼロにする政策を推進するということだ。CO2の排出を70~85%削減しなければならない。このような国の方針として示されたのは、英国、フランス、スイスに続いてのものとなり、ドイツは今年中に同じ方針を示して立法化することになっている。日本にはまだその動きは見られない。ネットゼロを達成するためには、経済政策を大きく変えなくてはならず、化石燃料の使用をほぼ止めなくては達成できないもので、簡単な話ではない。だが、工業化社会になる前の地球の平均温度よりも1.5℃上昇に食い止めるにはどうしても達成しなければならないことなのだ。

 ネットゼロにするためには、電力だけでなく、運輸用、工業用のシステムからのCO2排出を大幅に引き下げなくてはならない。スイスの2017年の電源構成を見ると、アルプスの氷が溶けた水による水力発電が60%ほど、原子力発電が30%ほどで、石油火力が数%となっているが、太陽光や風力の比率は低い。だが、スイスは原発を近い将来全廃するという方針を示している。交通運輸、建物、工業分野からのCO2排出量を95%は引き下げないと、今回示された目標の達成は難しいとされる。水力発電を増やすと同時に、太陽・風力・地熱・バイオマスの利用を大幅に拡大する必要がある。さらに、暖房などに大量に使われている天然ガスも消費量を大幅に引き下げなくてはならない。その主流は、天然ガスが使われる分野を、効率の高い電気機器で代替することになるだろう。どうしても化石燃料が必要な分野も残るだろうが、交通運輸の電化も推進されるはずだ。米国でも具体化が進んでいる建物のオール電化は必然となるはずだが、スイスにとって難しいのは、CO2を出さない原発に代わるものを入手しなくてはならず、多分水力発電の増強が必要になる。しかし、地球温暖化によってアルプスの氷の量が減りつつあることにどう対応するかが課題になるかも知れない。

 いろいろ難しい条件がある中でスイスが2050年ゼロエミッション達成を宣言したのだが、日本はどう反応するのだろうか。

 

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