効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■チリの環境問題

今年の12月に、国連の環境問題会合がチリのサンチャゴで開催されることになっており、世界各国から各国首脳を含む2~3万人の人が集まることになっている。チリ政府は、それに備えて、地球温暖化を抑制する目標達成に向けた各国の対応に歩調を合わせようと、今週、新しい気候変動太陽プランを今週発表している。その中で、チリ大統領は、2040年までに全ての石炭火力発電所を停止し、2050年には、同国で、炭酸ガスの排出と吸収が均衡するカーボンニュートラルを実現すると表明している。しかし、グリーン化を推進する政治家や、南米諸国からは、チリ政府に対して、石炭火力発電所の閉鎖目標を早めるべきだとする要請がなされている。これから5年内に8基の石炭火力を閉鎖するという計画になっている。

2015年12月に200国近くが賛同して採択されたパリ協定は、世界の気温上昇を摂氏2度以内に抑制し、さらに1.5度を実現する努力をするとしている。しかし、現在のカーボン排出の傾向を辿ると、3度の上昇が避けられないレベルとなっているようだ。会合を主催するチリ政府は、パリ協定に対応するために、そのGDPに対応する温暖化ガス排出を2030年迄に2007年比で30%引き下げようとする施策を出そうとしている。温暖化抑止を研究している組織からは、チリの計画では、経済成長も実現しようとしているために、2030年には排出量は41%になるから不十分だと批判している。

 チリでは最近これまでに経験したことのないほど強い竜巻に襲われた地域もあり、異常な干ばつも経験し、果物の栽培地域を移動させなくてはならないほどになっている。氷河も縮小中。これらは今後さらに悪化すると専門家は予測している。一方、石炭火力の稼働している地域では、大気汚染が進んでおり、温暖化より早く具体的な対応が必要になってもいる。

一方、石炭火力の閉鎖は雇用の喪失を招くと同時に、電気料金が大幅に上がることになることが憂慮されている。だが、政府は、チリは再生可能エネルギーが豊富であり、それに代替すれば大きな問題にはならないとしている。政府が発表した温暖化対応計画が最終的に施策として議会が承認するかどうかはまだ未定だとのこと。12月の会合までには決着すると言われているが。