効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■光を吸収する「暗黒素材」

産総研が4月24日に発表しているが、当たった光をほぼ100%吸収する「究極の暗黒シート」を開発した。光を完全に吸収する素材を作るのは難しく、通常の塗装などの吸収率は97%程度。産総研カーボンナノチューブを使った素材で吸収率99.9%を実現していたが、耐久性などの面で実用化は難しかった。表面を黒色化した材料は、装飾や映像分野などの幅広い用途があり、特に乱反射防止用には、100 %に近い光吸収率の材料が求められている。しかし、99 %以上の光を吸収する従来の材料は耐久性に乏しく、一般環境での利用が困難だった。今回、シリコーンゴムなどの表面に、あらゆる光をとらえて逃がさない光閉じ込め構造を形成することで、柔軟で耐久性にも優れた究極の暗黒シートを製造する技術の開発に成功したということだ。

ポイントとなる光閉じ込め構造は、サイクロトロン加速器からのイオンビームの照射と化学エッチングにより、ポリマー表面に微細な円錐状の空洞構造を多数形成することで実現した。これを原盤としてシリコーンゴムに転写作製した暗黒シートは、紫外線~可視光~赤外線の全域で99.5 %以上の光を吸収し、特に熱赤外線に対しては99.9 %以上という世界最高レベルの光吸収率を達成した。この素材を応用した製品には意外なものも出てくるかも知れない。