効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■リチウムイオン電池のコスト大削減?

電極を含めほぼ全てを樹脂で形成する「全樹脂電池」が量産に向かうということだ。全樹脂電池は、製造工程が従来とは全く異なるリチウム(Li)イオン2次電池だ。構造上、工程が簡素で、無駄な部材が不要なために低コスト化しやすいようだ。当面の価格目標は1ワット時当たり15円。定置用蓄電池や電気自動車(EV)用2次電池の長期的な目標である1ワット時当たり10円も視野に入ると報じられている。

既存の2次電池とは製造工程が異なるために、量産に乗り出す電池メーカーはこれまでなかった。考案した慶応義塾大学特任教授の堀江英明氏と共同開発中の三洋化成工業は、パイロットラインで全樹脂電池を試作し動作確認した実績はあるものの、自ら製造することはなかった。量産ノウハウを持たないためだ。そこで同教授は慶応大学が主体のベンチャーキャピタル、慶応イノベーション・イニシアティブ(KII、東京・港)とともに共同出資ベンチャー企業を設立し、三洋化成の子会社とした。新会社の目標は「既存の10分の1以下の設備投資額で高速かつ高歩留まりに大量生産できることを確認し、そのための製造装置と製造レシピを提供可能にする」(堀江氏)ことだというから、これがその通りに進展すれば、電池のコストは大幅に下がることになる。

全樹脂電池を低コストにできるのは、その構造が既存品とは異なり、電気エネルギーを蓄える活物質や、そこに電気を流すための電極が樹脂(高分子材料)であることにある。基本的には、活物質の粉末を電解液に混ぜ込んだペースト状の材料を樹脂フィルムに塗って、そのフィルムを電池構成部材のセパレーターとともに重ねると電池になる。ロールからロールへの方式で素材を作るという、これまでのように乾燥工程のない製造法で作られることでコストが大幅に下がるらしい。本格的な製造が可能になってほしいものだ。