効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

九州電力、家庭用FIT切れ余剰電力の蓄電実証

来年から家庭用太陽光発電(10kW未満)の固定価格買取制度(FIT)の期間が終了して、売電先を探さなければならない戸数が全国で50万件を超える。一方、九州電力は、この秋のウイークエンドで快晴の時に、自社の発電設備を絞っても、太陽光発電の発電量が上乗せされたために総発電量が総電力需要を上回る時間帯ができるということになり、太陽光発電事業者に発電停止を要請せざるを得ないという状況になり、それが何回も起きるということになっている。
これを回避するには、太陽光発電からの電力を何かの形で蓄電する必要があるが、送電系統規模の蓄電池のコストはまだ高いし、デマンドサイド・マネジメントで需要を抑制する手法はまだ普及していない。そこで三井物産と組んで、管内でFITが終了する家庭用太陽光発電の昼間に発生する余剰分を蓄電池に貯める方策を実証することになった。2019年11月以降のFIT買い取り期間終了を見据え、これまで電力会社に売電していた余剰電力の一部を蓄電池に充電し、それを夜間などの自家消費分に回すことで、電力料金低減を図ることが出来るようにして充電を奨励するというものだ。
実証実験は19年春にも始める。九電の総合研究所(福岡市)の実験住宅や、福岡市内の一般家庭で数件を対象に選ぶ。太陽光パネルが昼間に作った電気を蓄電池に充電し、夜間などに使うことで電力会社から購入する電力量を減らす。1年程度かけて、採算について検証するという。実験では蓄電池の容量は6〜10キロワット時を想定しており、費用は九電などが負担する。充放電のコントロールには、三井物産が出資する米サンバージエナジーのシステムを採用するということだ。
家庭用だから、個別の発電量は小さいが、多数を対象に中央から充電を制御することによって、一定規模の発電量を充電に回し、総発電量を少しでも減らそうという試みだろう。これが円滑に進めば、将来少し規模の大きいものにも対象を拡大することも念頭にあるはずだ。これに加えて、電力需要を一時的に増やす方向の制御の実証も並行して行うことになるだろう。これによって、折角発電出来る再生可能エネルギーからの電力を無理に抑制するのを少しでも避けることが出来るとすれば、好ましいことだ。