効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

九州大学、水素吸蔵合金の基礎基盤研究に注力

これから10年ほどの間に、風力や太陽光を利用した発電装置が増えてくると、その出力変動を制御するために、発電のピーク時にその余剰電力で水を電気分解した水素に変換する、あるいは全量を水素にする方式が普及するだろう。発電現地で貯蔵して燃料電池やタービンの燃料として使えれば良いが、それを他の場所へ移す必要が出る場合もある。その時に使われる一つの手段が水素吸蔵合金の利用で、これを詰めた瓶で水素を宅配する実証試験も行われている。だが、その合金がどれほど長く水素を保持し、性能を維持できるかについては、かなり不十分だと聞いたことがある。その課題を解決するのに九州大学が乗り出したそうだ。同大学の「水電解水素製造・エネルギー貯蔵材料に立ち戻った革新的な基礎基盤研究」が、「平成30年度グリーンアジア国際戦略特区事業」の採択を受けることになった。具体的には、ポリマーを添加することにより安全に常温で大量の水素を貯蔵できる様々な水素吸蔵合金についての安全性に関するデータを蓄積・実証し、これにより住宅地領域での水素貯蔵についての規制緩和・利用拡大を目指す、というもの。福岡県は、北九州市・福岡市とともに、2011年12月に国から「グリーンアジア国際戦略総合特区」として指定されている。ここでは環境を軸とした産業の国際競争力を強化し、アジアから世界へ展開する産業拠点の構築を目指しているが、このプロジェクトもその一環。水素吸蔵合金は、水素と容易に反応し水素吸蔵能力に優れた金属と、吸蔵能力は小さいが放出能力は高い金属の合金。液体水素よりもコンパクトに貯蔵できるという特徴を持つ。液体水素を作るのには、かなりの電力が必要だが、水素吸蔵合金にはその電力損失がない。いまコストは別として、実用化の途上にある東芝のH2Oneはこれを利用している。ハウステンボスの変なホテルなどに設置されている。この技術開発には期待される物が大きいだろう。