効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

蓄電池の素材を巡る課題

電気自動車(EV)製造にかかせないレアメタル希少金属)のコバルトが不足し、EV普及の足かせとなる可能性が浮上していると報じられた。コバルトは生産方法と主産国の内情という2つの理由から増産が難しい。大手自動車メーカーが確保を急ぐ動きも出ており、不足感や投機資金の流入で国際価格はこの2年間で3倍以上に上昇しているとのことだ。素材の問題は電気自動車向けだけでなく、送電系統に設置されるものも同じ課題を内包している。リチウムイオン電池がいま主流になっているが、リチウムも産地が限られていて、地政学的なリスクもある。コバルトの生産地も偏在する。世界の鉱石の半分以上をコンゴ民主共和国が供給し、中国やカナダといった他の生産国のシェアはそれぞれ1割未満。電気自動車がこれから急増することは確かだし、送電網用に使われるものや住宅やビルなどに設置されるものも増える。そうなると、素材にレアメタルを使っているものは、その供給の制限によって価格が下がらないかも知れない。その意味で、マグネシウムのようなありふれた素材を使う蓄電池の開発がされなければ、蓄電池事業のリスクは次第に高くなるだろう。NaS電池はナトリウムと硫黄が素材だからその制約はないが、高温で作動させるために設置場所に制約がある。蓄電池の素材の選択がこれからの蓄電池市場の動向を左右するかも知れない。