効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

廃炉コスト

昨今、福島第一原子力発電所の事故を巡って、4基の原子炉の廃炉コスト、周辺の除染、住民の移転、漁業だけでなくいろいろな事業の賠償など、巨額になることが明らかになり、その負担は究極的には国民負担にせざるを得なくなっている。そこに上乗せする形になるものとして、最近廃炉の方針が固まった高速増殖炉廃炉について、その廃炉コストも膨大だし、炉心の冷却に使う液体ナトリウムの廃棄処理が、技術的にも極めて困難であるらしい。ある程度の予感はしていたのだが、今は固体となっているナトリウムが空気に触れると発火するのをどのように防止するのか、確たる技術的対応がとりにくく、その対応コストも膨大になるという。また、もんじゅで使われたウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の処分も課題になる。約21トン発生すると見込まれるが、国内では処理できない。海外に委託して燃え残ったウランやプルトニウムを取り出し、残った高レベル放射性廃棄物も含めて返還を受ける方法が考えられる。原子力機構がもんじゅ廃炉費用として試算した約3000億円の中に、海外への処理委託費は含まれていない。既に廃炉が決まった新型転換炉「ふげん」(敦賀市)も使用済みMOXが約64トン発生し、原子力機構はフランスへの処理委託を目指しているが、契約はできていないという。通常の原子炉についても、いずれ全て廃炉にしなければならないのだが、福島ほどではないにしろ、それに必要な時間とコストは膨大なものとなるに違いない。ベース電源として絶対必要だとする政府のエネルギー政策を見直す必要があるだろう。