効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

500メートルの超電導直流送電

少し前に、鉄道の架線への直流供給をするのに超伝導方式をテストして成功したことを書いたが、その送電距離は変電所から鉄道路線までだから、それほどの距離ではなかった。ところが、産学で構成される石狩超電導・直流送電システム技術研究組合は8月6日、北海道石狩市石狩湾新港地域に設置した高温超電導直流送電システムで、500メートルの超電導送電試験に成功したと発表した。超電導直流送電では世界最長級の送電距離となるようだ。今年9月には太陽光発電設備から、さくらインターネットの石狩データセンターへの送電試験を始める予定だという。この研究組合は昨年1月に発足し、経産省から高温超電導技術を活用した高効率送電システムの実証を受託している。試験に用いる超電導ケーブルは、国内で初めて公道埋設により敷設され、約3万世帯分の電力に相当する5kA、10万kVAの送電能力を確認した。新たな配管構造を採用し、送電路の熱損失を低減。従来の超電導ケーブルと比較し約2分の1となる、1メートル当たり1.5ワット以下(速報値)を達成したというから驚くほどの損失低減となる。高温超電導の場合液体窒素を循環させて低温を保つことで送電線の電気抵抗がゼロになるが、液体窒素の流体損失が従来のものに比べて約4分の1にまで低減されたというから、液の圧送に必要な電力の損失も大きく減ることになる。11月から1キロメートルの実証試験を行い、長距離化に向けた検証を進めていくということだ。データセンターの直流化と再生可能エネルギーの利用は世界の潮流であるだけに、この実験の成功が意味するものは大きい。送電の効率化が飛躍的に進むのだから、都心部の高層建築などの直流化が実用化されれば、さらに重要性が高まるだろう。