効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

カスピ海産ガス、ロシア通らず19年欧州へ

アゼルバイジャンからロシアを経由せずに欧州市場に向かうガス・パイプラインのルートが決まったと欧州メディアが一斉に伝えたという。これまで欧州諸国が天然ガスをロシアから輸入する場合、ロシアの衛星諸国を経由するしか方策がなかった。そのため、ロシアは衛星諸国との政治対立などを理由にして、衛星諸国へのガス供給を止めたりすることがあり、その時に西欧諸国はロシアからの供給制限を受けることもあった。カスピ海のガスを、ロシアを経由せずに西欧諸国が輸入できるようになれば、ロシアとの政治的対立によって供給が阻害される可能性が低くなる。欧州がロシアへのエネルギー依存度を引き下げようとしていることと密接な関係があるだろう。
ロシアの側から見れば、米国にガス市場を奪われる可能性が高まっている現在、自国がコントロールできない天然ガス供給量が増えることは、資源供給国としての地位が危なくなる可能性が高まるということになる。ロシアからのLNG輸入を増やそうと構想している日本とすれば、立場が弱くなるロシアとの価格交渉で多少でも有利な条件が出てきたと言えるだろう。欧州にカスピ海のガスが繋がるのは2019年だというから、即効性は無いかもしれないが、日本が持つ切り札の数が増えることになるのは確かだろう。