効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

技術開発とニーズ

強いニーズがあれば、いずれはそれを満たす技術が開発されるとよく言われるが、今日の日経朝刊がトップで報じた内容はまさにそれだと感じさせられた。日揮が、これまで使えなかった低品質石炭を加工して液化した燃料で重油と同じように火力発電所で使えるようにする技術を開発し、約300億円を投じてインドネシアに生産設備を建設するという。日揮の技術は低品質炭をいったん粉砕。高温高圧にして水分を抜き、添加剤などを加えて液体燃料へ加工する。燃やすと重油とほぼ同じ発熱量があり、通常の石油火力発電所でそのまま重油の代わりに使える。日本やアジアで販売し、3〜5割安い価格で石油火力向け重油の代替を目指している。世界の石炭埋蔵量の約半分が、水分の比率が高く、燃えにくいためそのままでは使えない低品質炭だ。この技術が実証されれば、火力発電コストの低下につながる。インドネシアは低品質炭の埋蔵量が多いため、生産設備建設を決めたという。15年までに年産100万トン規模の大型プラントを完成させる。火力発電所としては一般的な能力30万キロワットの設備を1年間稼働できる量に当たる。その後は需要をみながら年産1000万トン以上への引き上げも検討するというから、実用化された技術だと言えるかもしれない。課題はこの火力発電所から出る地球温暖化ガスである炭酸ガスの量が多いだろうということだ。重油代替だから石炭火力より排出量は少ないかもしれない。だがいずれは排出ガスから炭酸ガスを抽出して貯蔵する技術との併用が必要かもしれないが、当面はこのままでも石炭よりも使いやすいから、アジア各地で需要が出てくるかもしれない。中国にもこの技術を売ることができるかもしれない。産炭地で発電することも可能になるからだ。応用範囲は広い。