効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

スマート・トランスポーテーション・システム

米国のリサーチ会社が、スマートシティーの時代には、情報技術を駆使したインテリジェントな運輸システムが必要となり、それに必要なソフト技術の市場が膨大となるとしているのを知った。これには車や公共交通機関が円滑に動くようにするということに止まらず、電気自動車の充電から、車同士の情報交換、信号管理、大型の貨物自動車の運行管理までもシステムに含まれている。これを見て思ったのだが、少なくとも日本では公共交通機関としての鐵道は、すでにスマート化しているのではないかということだ。バスの運行管理も情報化が進み、どこをバスが走っているかの表示もあちこちで実用化している。鐵道に関する限り、目的地までのルート情報をネットで手に入れて、それに従って移動をしていて困ることはまずない。欧米先進国でも、これほど正確な運転管理はできてはいない。ここまで考えて、待てよと感じた。日本の電力供給のスマート化はすでにできていると言ってきた電力会社の状況とよく似ているなということだ。電力の供給安定度は世界に冠たるものだということだったが、それは、コージェネレーション再生可能エネルギーなどの分散型電源が供給網に増えるのを極力抑えることによって実現できたものだと言うことが今年の福島原発第一の事故をきっかけに分かってきたからだ。全国的な電力供給力不足に陥って、その回復策の目途がたたない一つの理由がこれだろう。
日本の鐵道が正確であることで、このシステムを前提に海外に売り込むのはリスクがあると思う。これまでにも書いたことがあるが、運転手をはじめ、関係者がもつ責任感で担保されている側面が大きいからだ。いま日本の鐵道技術の輸出が構想され、実現に向かっているものもある。その時に、日本の運転管理、維持管理に重要な位置を占める人間という要素をよく考えておかないと、中国の新幹線が事故をおこしたような事態になりかねない。文化の差を克服するのは難しいことだ。しかし、それができなければ、海外での鐵道関連システム市場開拓は最終的に成功しにくいのではと思うのは考えすぎだろうか。