効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

企業が自社用風力発電を保有

外食大手のワタミが来春から風力発電を導入する。風力発電事業を手がける札幌市の企業、市民風力発電と連携して、秋田県かほ市に2000キロワットの発電能力をもつ風車を建設する。発電した電気をワタミがすべて買い取り、自社の介護施設などで利用する。東日本大震災後、企業の電力調達が不安定になっており、自前の電力を確保する動きが広がりそうだ。企業が自家需要を賄うために太陽光発電を導入する例はあるが、風力発電を利用するのは珍しい。約60棟ある介護施設の屋上などでは太陽光発電を設置できるスペースに限りもある。このため風力発電を導入することを決めたと報じられている。
ここで分からないのが、風力発電は出力が風任せで変動するのをどのような形で自社の介護施設で使えるように供給するかだ。これまでには、一度大型の蓄電池に貯めておいて、需要先の電力消費に併せて送電するというのが実例としてある。しかし、この報道では蓄電池のことはまったく触れていないから、一度東北電力の系統を経由して電力取引会社に売ることになる。その月間発電量を仮想的にワタミの介護施設が使ったとするのだろう。出力変動は東北電力が火力発電の出力を制御して吸収することになる。2000キロワットの風力発電からの発電量は年間450万キロワット時で、ワタミグループの年間電気使用量の約3%にあたるという。
風力発電の総事業費は約6億円。ワタミは、風力発電事業を手掛ける市民風力発電(札幌市、鈴木亨社長)が風車の建設・運営のために設立した特定目的会社(SPC)に対して総事業費の一部を拠出する。鈴木社長はいつも親しくつきあってくださる方で、市民出資の風力発電設備をこれまで12基建設し、全て順調に稼動させて出資者へ約束通りの配当を続けている。これから市民風力発電が新たな事業分野を開拓するきっかけとなってほしいものだ。