効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

CO2吸収膜

CO2の大量排出が地球温暖化の原因だというのは、受け入れざるをえないことだろう。いままで地球にある空気に含まれるCO2の量は、植物による吸収と動物の排出、物が燃えることによる排出などとのバランスでほぼ一定だった。それを人間が産業革命以来、いままで空気とは絶縁していた化石燃料を大量に燃やすことによって大気中へのCO2排出量を急増させたのだ。その増加が地球上で行われている炭素の循環に影響を与えたのは確かだ。それが地球温暖化の唯一の原因かどうかは分からないが、一つの要素であることを否定はできないと思う。
だから化石燃料の利用から排出されるCO2を何らかの形で捕捉し、固定化して大気中に出ないようにする技術の開発が進められている。火力発電所についてはカーボンキャプチャーと言われるものだ。ところが、京大と九大がナノレベルの小さな穴が空いた特殊な膜を使って、CO2を捕捉するだけでなく、その膜の中でアルコールに合成する技術を開発したと報じられている。5年後に実用化といわれているから、理屈では可能だという夢物語ではなさそうだ。その薄膜は「多孔性金属錯体」という材料でできている。この膜を使うと、気体に含まれるCO2や水素の分子を穴の中に取り込める。そこに電気や光などのエネルギーを与えると、穴の中で反応が起こりアルコールなどの化学品を作れる。処分方法が問題のCO2を化学品の原料として有効活用できるようになる。ということだそうだ。外部から何かのエネルギーを加えなければならないのだが、葉緑素と同じように太陽エネルギーでも可能だということが素晴らしい。変換効率の高さは報じられていないが、これが半分でもCO2を捕捉できるとすれば、それが化学原料になるのだから何かの形で固定されることになる。それがまた燃やされることがあるかもしれないが、CO2の排出量増のテンポを下げることは確かだ。膜の耐久性など解決すべき課題はまだ多そうだが、楽しみな技術が生まれたものだ。日本が得意な膜技術だから、うまく進展すれば世界を席巻することになるかもしれない。