効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

燃料電池自動車

カナダのバラード社は燃料電池の開発では世界の先頭を走っていると思っていた。ところが、同社が車載用の燃料電池開発から撤退するというニュースが入ってきて驚いた。車載用の燃料電池を開発する部門を、同社に出資しているドイツのダイムラー社と米国のフォード社に売却するらしい。記事によると、いままでに1,000億円以上の資金が投入されたが、今回の合意で事実上終わりを迎えたという。
バラード・パワーシステムズ社は「燃料電池車の早期実用化が困難で開発コストの負担に耐えられない」ことを今回の撤退の理由としているとのことだ。同社は日本の荏原製作所との合弁会社荏原バラードで定置型燃料電池を開発している。現在家庭用の1kW級固体高分子型燃料電池を新エネルギー財団の行う大規模実証試験に沿って、285基が現在稼働中で平成19年度には271基が設置されることになっている。天然ガスを燃料とするものだけでなく、LPGや灯油を燃料とするものもある。したがって、燃料電池本体だけの技術であれば、価格は別にして一応の段階まで開発は来ているということだろう。
車載用については、燃料電池への燃料をどのように供給するか、現段階では水素と想定されている燃料をどのように車のタンクで運び、その注入をどうするかについては開発段階であるし、実用化に至るまでにはその水素供給のインフラを作らなければならない。その実用化までの経路を見通せなかったのだろう。また、蓄電池の技術開発が進み、ハイブリッド車に次いで電気自動車の開発の方が燃料電池車の開発よりも先行する可能性も出たことも今回の決定の要因になったのだろう。
果たして燃料電池車は実用化するのだろうか。日本のトヨタとホンダは既に路上試験を繰り返している。しかし、トヨタは定置用燃料電池の供給を始めているところを見ると、内部では燃料電池車の開発を諦めつつあるのかも知れない。ホンダも定置用を販売するのではないか。超小型ガスエンジンによって発電する1kWの家庭用熱電併給システム・エコウイルを既に4万台ほど売っている経験があるから、その可能性は高い。面白いことになってきた。